SST普及協会 30周年記念事業 プレ大会

SST普及協会
創立30周年記念事業 プレ大会
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SST出前講座について

Ⅰ.精神障害者の地域生活支援技術者養成講座(SST出前講座)のご案内

 当協会では、心理教育・家族教室ネットワークと協力して、各病院に出向いて研修を行う出前講座を実施しています。ご承知のように、厚生労働省は従来の入院医療中心から地域生活支援中心への軸の転換を目標に掲げ、最近では「長期在院患者の地域移行」とともに「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築や研修などを課題としています。
 こうした流れの中で、多くの病院では病院活性化と、患者さんの地域移行・地域生活向上への治療・支援力向上を目指して、職員の皆さんの研修に一層力を入れておられるとうかがっています。しかし、病院から職員を院外研修に出しても、学んだ理念や方法を病院に定着させることは稀と言われています。
 そこで、経験のある講師陣が病院に出向いて研修を実施することが効果的と考え、ご依頼があれば次の講座を実施出来る準備をしています。
 6講座あり、1講座3時間が1単位ですが、家族支援は2単位です。

1) 急性期病棟:急性期入院治療を活性化し再発防止力を高めるための講座
2) 長期在院 :長期在院患者の退院支援を活性化するための講座
3) デイケア :参加者が魅力を感じるデイケアにステップアップするための講座
4) 個別支援 :個別支援SSTにより、回復を一段と促進するための講座
5) 家族支援 :家族支援と家族への心理教育を学び実践するための講座
6) スタッフ :スタッフの質の向上のための講座

Ⅱ.出前講座企画の趣旨

 ご承知のように、国は従来の入院医療中心から地域生活支援中心へ軸を転換することを謳い、平成24年6月には新たな長期在院者を作らないことを明確にするため、「重度かつ慢性」に該当する患者を除き、精神科の入院患者は1年で退院させ、入院外治療に移行させる仕組みを作る、という方針が出されています(精神科医療の機能分化検討会報告など)。
 今後はできるだけ地域で治療とケアを進め、長期在院は作らないようにしたいということは、精神科医療に携わる多くの関係者の共通の願いです。しかし、精神科医療分野では「患者さんだけでなく、治療者も病院中心でやってきた。地域で患者さんを支える方法が分からない」という声も聞かれます。
 SST普及協会では精神障害を持つ人たちの退院・地域移行と、その後の地域生活を支援するため、リカバリーの考え方を踏まえた最新の精神障害者リハビリテーションの考え方に沿って、治療・援助技術を改善し、研修会を指導する認定講師(現在100人を越えました)を養成し、全国で研修会を実施してきました。
 従来長期在院になりがちであった患者さんを地域で支えるには次のようなことが必要でしょう。

  1. 治療者がエビデンスに基づく治療とリカバリーの考えを身につける
  2. 患者さんが適切な希望と目標を持ち、自己対処能力を高めていくための支援が行われる
  3. デイケアで個別的な目標に沿う治療と支援が実施され、デイケアが活性化する
  4. 患者さんが自分の再発兆候を認識して医療機関に連絡がとれたり、服薬の意義を理解して副作用や疑問があるときは自己中断しないで医療関係者に相談したりできるようになる
  5. 長期在院の患者さんは退院後の地域生活を想定して、療養や生活の準備を進めることができる
  6. 医療関係者が訪問支援の目的や方法・技術を身につけて、当事者が主体的に生活スキルを学習できるように効果的な訪問支援が行える
  7. 身近で支える家族が精神障害を理解し、問題への対処方法を身につけることができる

 SST普及協会では、従来からこれらの課題に対応した研修会を実施してきましたが、この度、上記の1~7の課題に対応して、「精神障害者の地域生活支援技術者養成講座」(出前講座)として研修会を企画しました。

Ⅲ.出前講座の6つの企画内容

 病院に講師が出向いて研修を行うとしても、病院側で多数の職員を業務からはずして研修会に参加させていただくことを考えると、出来るだけコンパクトに短時間で効率よく学べるように工夫することが必要と考えました。そこで検討の結果、①急性期病棟、②長期在院、③デイケア、③個別支援、⑤家族支援、⑥スタッフの質の向上の6講座(家族支援は3時間×2回、他は3時間×1回)に整理し、それぞれの講座のキャッチフレーズとシラバスを病院ニーズに対応出来るよう改訂作業を行いました。
 出前講座として企画している講座は下記の6つです。1講座3時間が1単位ですが、家族支援は2単位を想定しています。

① 急性期病棟:急性期入院治療を活性化し再発防止力を高めるための講座
② 長期在院: 長期在院患者の退院支援を活性化するための講座
③ デイケア: 参加者が魅力を感じるデイケアにステップアップするための講座
④ 個別支援: 個別支援SSTにより、回復を一段と促進するための講座
⑤ 家族支援: 家族支援と家族への心理教育を学び実践するための講座
⑥ スタッフ: スタッフの質の向上のための講座

精神障害者の地域生活支援技術者養成講座(「SST出前講座」)ver.6

 講座名と担当者、キャッチフレーズ、シラバスは下記の通りです。

① 急性期病棟 担当:加瀬昭彦委員

 急性期入院治療を活性化し再発防止を高めるための講座(3時間コース)

 急性期の入院治療では「施設基準を余裕でクリアできるように早期退院を促したい」「でも短期間での再発・再入院は避けたい」という課題があります。この講座ではSSTに基づく心理教育の方法を用い、患者さんやご家族の対応力に焦点を当てて、短期間での再発・再入院を防止する「再発防止力」を高める方法を取り上げます。

1) 退院後まもなく起きる再発・再入院の実態とその要因(講義)
2) 急性期の入院治療に、再発を防止する心理社会的治療をどう組込むのか?(講義・一部実技)
 再発防止に役立つ方法とその使い方
  ・急性疾患(本人・家族への心理教育)
  ・服薬教育(服薬自己管理モジュールの使い方)
  ・注意サイン教育(症状自己管理モジュールの使い方)
  ・ストレスマネジメント(社会資源を知る)
3) 急性期の拒薬患者・不安の強い家族にどう接するか?(実技)
4) 討論:あなたの病院での急性期退院後の「再発防止力」を高める方法を考えましょう


② 長期在院 担当:安西信雄委員

 長期在院患者の退院支援を活性化するための講座(3時間コース)

 この講座では、退院が難しくなっている患者さんの退院可能性を見つけ出し実現する方法を考えます。環境と本人の双方にチームで働きかけるツールとして「退院準備プログラム」を使います。これは平均在院10年の長期在院患者の50%以上が1年以内に退院した実績のある方法です。起因の退院支援の活性化にきっと役立つことでしょう。

1) 長期在院になっている人が「なぜ退院が困難のか」を考える
2) 長期在院になっていた人が退院可能となった具体例の紹介
3) アセスメントの実施方法と退院支援計画の立て方
4) 退院準備プログラムと効果のエビデンスの紹介
5) 演習:①導入、②薬の再発防止効果、③注意サインを見きわめる
6) 討論:あなたの病院での退院支援を活性化する方法を考えましょう


③ デイケア 担当:池淵恵美委員

 参加者が魅力を感じるデイケアにステップアップするための講座(3時間コース)

 この講座ではデイケアの活動が生き生きと魅力あふれるものになることで、参加を希望する人が増え、それがさらにデイケアの活性化につながる方向を目指します。リカバリーをめざし個別支援にも力を入れたデイケアは、当事者・家族の満足度だけではなく、デイケアスタッフのやりがいにもつながるでしょう。

1) デイケアで元気になった具体例の紹介
2) デイケアの持つ力にはどんなものがあるか
3) デイケアが力を発揮するためにはどのような治療構造が必要か
 ・個別アセスメント・支援計画(ケアマネジメントサービス)
 ・当事者や家族の思いを重要視し、リカバリーを支援する
 ・SSTをはじめ必要なプログラムにはどんなものがあるか
 ・就労・就学支援
4) 演習:あなたの受持ちケースの目標と役立つ支援方法を考えてみましょう
5) 討論:あなたのデイケアの良いところ・課題・ステップアップ方法は?


④ 個別支援 担当:浅見隆康委員

 個別支援SSTにより、回復を一段と促進するための講座(3時間コース)

 「治療困難と言われる人」(たとえば拒絶、衝動行為、多飲水などが続く)でも、個人支援の方法に習熟した多職種チームが関わると、悩み、希望、ストレングスに気づくことが出来ます。この講座では個人支援SSTのやり方を学びます。治療困難と思われた人たちが徐々に変わり、スタッフとの関係性を築き、回復に向かうことを目指しています。

1) どの病院にもいる「治療困難」と言われる人たちの実態を考える
2) 問題行動が起きるきっかけや持続させる要因の検討(アセスメントと行動分析)
3) 事例を通じ、個別支援の「いつものやり方」と「効果的な個別支援と多職種協働によるやり方」の違いを考える
4) 個別支援の場でSSTを有効に使う個別支援SSTの方法
5) 演習:参加者が対応に困っているケースを取り上げ、関係を改善し、回復を促進する方法を試みる
6) 討論:あなたの病院のケースで個別支援SSTの方法を考えてみましょう


⑤ 家族支援 担当:後藤雅博委員

 家族支援と家族への心理教育を学び実践するための講座(3+3時間、計6時間コース)

 早期退院と地域生活支援に重点が置かれる時代になり、家族に負担は一層大きくなっています。この講座では家族を負担を軽減し、ご本人を支える共同作業をやりやすくする家族支援の方法を学びます。対応が難しいご家族への対応や、トラブルを避ける方法についてもヒントが得られるでしょう。

1) 早期退院と地域生活支援の時代の家族の状況:家族支援はなぜ必要か
2) 家族心理教育の歴史と理論:再発防止における家族の役割
3) どうすれば家族を支えられるのか:家族心理教育の方法とその効果
4) 演習:家族心理教育の実際(デモンストレーション)
1) 知識・情報をどう伝えるか
2) 家族のストレングスに焦点を当てたかかわり方を学ぶ
3) 問題解決グループの進め方
4) 討論:あなたの病院のご家族はどんなことでお困りですか、どういう家族支援が必要そうですか?


⑥ スタッフ 担当:河岸光子委員

 スタッフの質の向上のための講座(3時間コース)

 この講座ではSSTの知識や技術を身につけることによって、職場での人間関係や患者・家族への対応が改善し、良い人間関係が維持できるようになることを目指します。スタッフの方々がこの講座に参加すると、病院の接遇改善、若手スタッフを育てることにも役立ち、スタッフの質の向上につながるでしょう。

1) SSTを日常で活用している具体例の紹介(スタッフ間、家族間、患者との関わり)
2) 接遇に活かせるスキル(患者・家族の訴えへの上手な対応)
3) 面接方法(思いの引き出し方)
4) 希望に沿った目標設定
5) 個別SSTを使った演習
 ①スタッフとの面接で思いを引き出し目標を設定する
 ②患者・家族の話を聞き代理行為から治療対応をする

Ⅳ.出前講座の要綱とお申込方法

 研修会は6つの選択メニューから選んでいただきます。
 経費(講師謝金と旅費等)の目安については、1単位(約3時間)講師謝礼3万円と旅費(実費)を目安とします。
 下記の 「出前講座申込み用紙」 に必要事項をご記入の上、SST普及協会事務局までお申込をお願いします。

お申込先:

 一般社団法人 SST普及協会事務局
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 東京都中央区築地2-3-4-9F
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