日常生活技能
私たちの日常生活は、さまざまな行動から成り立っています。対人関係を含むものは「社会生活技能
Social Skills」と呼ばれますが、直接的には対人関係を含まないものも沢山あります。家庭の中では、食事をする、整理整頓をする、清潔にする、身なりをととのえるということが必要です。金銭管理も人に頼らずに自立して生活するためにとても大事なことです。さらに、電話をかける、電車や公共交通機関を上手に利用する、役所や図書館などの公共施設・機関を利用する、なども世の中で生きていくために大切なことです。
日常生活をスムーズに行うために必要な行動を日常生活技能(Living Skills)と言います。従来、精神科の病棟では、こうした日常生活技能を向上させるために看護スタッフや作業療法士等のスタッフが忍耐強い努力を重ねてきました。
最近では、こうした日常生活技能の向上にSSTを用いる試みが行われるようになっています。従来の日常生活と比べると、SSTを用いた日常生活指導では、@本人の「生活を変えたい」「ちゃんと出来るようになりたい」という動機を大切にする、A個々人のアセスメントを行い、どの技能が改善されれば日常生活行動が改善するかを明らかにして、治療計画を立てる、B計画に沿ってロールプレイやモデリングなどの技法を用いた練習を系統的に組み立てて実施するなどの点が異なっています。
しかし、SSTですべての問題が解決するわけではありません。従来から行われている日常生活指導や作業療法等と上手に組み合わせて、適切なタイミングで実施することが必要と思われます。その際に重視すべきことは、生活の質の向上にむすびつく本人の動機や希望を大切にすること、本人と共同で目標を設定すること(治療者が押しつけないように十分な注意が必要)、適切なタイミングで効果についての評価を行うこと、全体の治療計画の中に位置づけ、チームとして一致した方針で取り組むことなどが大切です。